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オーダースーツの値段の相場について考える

皆さんこんにちは。
Lv.99代表の水本です。

オーダースーツの購入を検討する際、多くの方が気になるのが価格の根拠です。
既製品のスーツよりも、オーダースーツの値段は高いという印象があります。
また、同じ既製品のスーツ、オーダースーツでも価格に大きな差があるのはなぜなのか。
今回は、オーダースーツの価格設定の背景にある要因を詳しく解説します。


オーダースーツの価格を左右する一番大きな要因は「生地」です。
使用する生地によって、価格は大きく変動します。

オーダースーツの相場ですが、エントリーレベルの国産生地を使用したオーダースーツの値段は5万円程度からスタートしますが、イタリアの高級ミルで織られた最高級生地になると、同じ仕立てでも15万円以上の価格差が生まれることも珍しくありません。

5万円より安いオーダースーツは、生地がポリエステル混だったり、仕立てが簡素化されていたりします。
時には店が大量に仕入れた生地を放出するタイミングでお得なセールがあったりしますが、あくまでも時限的です。

10万円以上のオーダースーツで使われているエルメネジルド・ゼニア、ロロ・ピアーナといった世界的に評価の高いミルの生地は、原毛の品質、織りの技術、デザインの独創性などが価格に反映されています。
これらの生地は1メートルあたりの仕入れ値段が既に高額であるため、必然的に完成品の価格も上昇します。

エルメネジルド・ゼニアはアパレルメーカーでもあり、生地メーカーでもあります。
生地の卸販売をしているので、我々のような街のテーラーでも、ゼニアの生地を使ったオーダースーツを仕立てることができます。
(以前はダンヒルも生地の卸販売をしていましたが、今は終了してしまいました)

ゼニアの既製品のスーツは、50万円とか80万円とかするものもあります。
オーダーだから高い、既製品だから安いというわけではなく、生地の品質が価格を決めるということです。

生地の原料という視点では、ウール100%ではなく、ポリエステル混だとなぜ安くなるのかというと、ポリエステルは石油を原料とした化学繊維なので、羊の毛を使った天然繊維のウールよりも製造コストが段違いに安いからです。

ポリエステルは丈夫ですが、スーツという用途においてはウールの性能には劣ります。
でも機能ではなく価格や丈夫さを選択するならば、ポリエステル混のスーツは選択肢としてアリです。


オーダースーツの価格には、工賃も含まれています。
生地代と工賃、服の原価はこの2つの要素でほぼ決まります。

一着のスーツを仕上げるまでには、採寸、型紙作成、裁断、縫製、プレス、仕上げといった多くの工程があり、それぞれに専門的な技術が必要です。

特に、手縫いの比率が高いフルハンドメイドのスーツになると、一着完成させるのに数十時間以上の作業時間を要することもあります。
職人の技術レベルと作業時間の長さが、オーダースーツの値段に直接反映されるため、マシンメイド中心のスーツと比較すると価格差は2倍以上になることが一般的です。

ハンドメイド、マシンメイド、それぞれの良さがあります。
マシンメイドとは言いますが、結局は職人がミシンで縫っているので、手作業で生まれているのは間違いありません。
現代社会において現実的な縫製方法はミシン縫いであり、手縫いは相当嗜好性が高い貴族の服と言えなくもありません。

オーダースーツには大きく分けて「パターンオーダー」「フルオーダー」の2つの種類があり、それぞれ価格帯が異なります。
パターンとは、服の型紙のことを指します。
パターンオーダーは既存の型紙を基に調整を行う方式で、フルオーダーは完全に個人専用のパターンを作成し、手縫いを多用する最高級の仕立て方法となります。

「いやいや、その他にもイージーオーダーというのがあるじゃないか」という話がよく出ますが、それは販売店が生み出した付加価値商品の意味合いが強く、要するにパターンオーダーの調整箇所を多くしたので価格も高くします、という商品をイージーオーダーと呼称しているのです。

服づくり的には、パターンオーダーとフルオーダーの2つしかありません。
フルオーダーで30万円以下のものはあまり見たことがありません。
フルオーダーで仕立てるくらいなのであまりチープな生地を使うことはないという理由もありますが、多くは職人の工賃です。


オーダースーツの最終的な値段は、ボタンや裏地などの付属品選択によっても変動します。

本水牛角ボタンや希少な貝ボタンを選択すると、プラスチックボタンと比較して5千円から1万円程度の価格アップとなります。

また、裏地も価格に影響する要素の一つです。
高級なキュプラやブランドの裏地を選択すると、通常のポリエステル裏地と比較して数千円から1万円以上の追加料金が発生することが一般的です。

さらに、細かなディテールの変更(袖の開き方、ステッチの色変更、特殊なポケット仕様、刺繍など)も価格に反映されるため、オプションの選択次第では当初の見積もりから大幅に値段が上昇することもあります。

その他にも、ブランドの知名度や店舗の立地条件も影響します。

銀座や表参道といった一等地に店舗を構える老舗テーラーは、家賃や人件費が高額であるため、同じ品質のスーツでも郊外のテーラーと比較して2割から3割程度値段が高くなる傾向があります。

また、長年培ってきたブランド力や顧客サービスの質も価格に含まれているため、無名のテーラーと比較すると相場に差が生まれます。

オーダースーツの価格は、生地の品質、縫製技術、オーダーの種類、付属品、ブランド力など多岐にわたる要因によって決定されます。

一見高額に感じる値段も、これらの要素を理解すれば納得できるところはあるのではないでしょうか。

自分に最適なオーダースーツを選ぶためには、予算と求める品質のバランスを考慮し、各要素の価格への影響を理解した上で賢い選択をすることが重要です。

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