スーツでよく見かける「Super表示」って何だろう？

スーツの説明でよく「Super 120’s」といった表記を見かけます。
なんだかよく分からないけど、すごい高級品のニュアンスを感じる！
じゃあこの値段でも仕方がないか、だってSuper 120’sだからな！

みたいな。

今日は、みんな実はよく知らない「Super（スーパー）表示」について解説します。

ウールのスーパー表示（Super表示）は、羊毛の繊維の細さを表す重要な品質指標です。
この表示システムは、ウール繊維の直径をマイクロメーター（μm）単位で測定し、その細さに応じて「Super 100’s」「Super 120’s」といった数値で表現します。
数値が高いほど繊維が細く、より高品質なウールであることを意味します。

スーパー表示は、ウール繊維の平均直径に基づいて分類されます。
理解しやすくするため、人間の髪の毛の太さ（約50-100μm、平均75μm程度）と比較すると、ウール繊維がいかに細いかがわかります。
主な分類は以下の通りです。

IWTOが規定する「Super S」区分の平均繊維直径の限度

• Super 80’s: 繊維直径 19.75μm（人間の髪の毛の約4分の1）
• Super 90’s: 繊維直径 19.25μm
• Super 100’s: 繊維直径 18.75μm
• Super 110’s: 繊維直径 18.25μm
• Super 120’s: 繊維直径 17.75μm
• Super 130’s: 繊維直径 17.25μm
• Super 140’s: 繊維直径 16.75μm
• Super 150’s: 繊維直径 16.25μm
• Super 160’s: 繊維直径 15.75μm（カシミヤはこのくらい）
• Super 170’s: 繊維直径 15.25μm
• Super 180’s: 繊維直径 14.75μm
• Super 190’s: 繊維直径 14.25μm
• Super 200’s: 繊維直径 13.75μm（ベビーカシミヤはこのくらい）
• Super 210’s: 繊維直径 13.25μm
• Super 220’s: 繊維直径 12.75μm（ビキューナはこのくらい）
• Super 230’s: 繊維直径 12.25μm
• Super 240’s: 繊維直径 11.75μm
• Super 250’s: 繊維直径 11.25μm

この制度は歴史的にはウールマークカンパニー（The Woolmark Company）によって開発されましたが、現在はIWTO（国際羊毛繊維機構：International Wool Textile Organization）が策定した「Super S Code of Practice」に基づいて定義されています。
なお、2021年7月1日以降、ウールマークカンパニーはIWTOに代わってSuper S制度の管理を行わなくなり、現在はIWTOが直接この制度を管理しています。

要するにスーパー表示とは「原料となる羊の毛の細さ」の表示単位なのです。

この時点では「細いから値段が高い」とは言い切れません。
正確には「細い羊毛をたくさん使っているから値段が高くなる」といった生地の製造プロセスまで含めて考慮する必要があります。
そして細い羊毛を織った方が、より豊かな光沢になります。

今ままで正確には知らなかったスーパー表示について、お分かりいただけたでしょうか。

数字が大きい方が羊毛が細いのですが、これをどう撚るかで値段も風合いも異なる生地が生まれます。
単にスーパー表示が大きいから高級品だ、という短絡的な表示ではないと言うことがお分かりいただければ大丈夫です。

ウールのスーパー表示と混同されがちなのが、糸の太さを表す「番手」という概念で、別物です。
これもセットで理解するとウール生地に対する理解が相当深まるのですが、またの機会に解説します。

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