スーツのボタンマナーで最初に覚えるべき結論はひとつです。
「ジャケットの一番下のボタンは、どんな本数でも留めない」
これが世界共通の「アンボタンマナー」の大原則です。この記事では、ボタンの本数別の正しい留め方、座る・立つといった動作別の作法、就活や冠婚葬祭などシーン別の注意点までを、JOSSCA認定マイスターの解説をもとに一つひとつ具体的に整理します。
早見表:まずはここだけ見れば留め方がわかる
| ボタンの本数 | 留める位置 | 一番下のボタン |
|---|---|---|
| 1つボタン | 必ず留める | (該当なし。フォーマル度が高いタイプ) |
| 2つボタン | 上のボタンのみ | 開ける |
| 3つボタン | 真ん中のみ(フォーマルな場では上2つ) | 開ける |
| 4つボタン | 下から2番目まで(上2つ、または上3つ) | 開ける |
| ダブルブレスト | 基本的にすべて留める | 立っている間は留めたまま |
- 座るときはジャケットのボタンをすべて外すのがマナーです。
- 3ピーススーツのベストの最下段ボタンも開けるのが伝統的な作法です。
- 全ボタンを留めるのは、フォーマル度の高い1つボタンを除いて基本的にマナー違反です。
なぜ「一番下は留めない」のか|アンボタンマナーの由来
このルールには諸説ありますが、いずれも英国紳士文化に由来します。
エドワード7世(英国王)説
20世紀初頭、当時皇太子だったエドワード7世(後の英国王)は体格が良く、食事の際にウエストコートやジャケットの最下段のボタンを留めると窮屈になることから、常に開けていたとされています。王室の影響力は絶大で、貴族や上流階級の人々が王の着こなしを真似するようになり、やがてそれが正式なマナーとして定着しました。これが「Never button the bottom button(最下段のボタンは決して留めない)」という英国紳士の鉄則の始まりとされています。
乗馬文化説
英国の貴族階級では乗馬が盛んで、馬に乗る際にジャケットの最下段のボタンを留めていると動きにくく、また座った姿勢でシワが寄りやすいため、自然と開けるようになったという説です。
仕立ての技術的理由説
伝統的な英国の仕立て技術では、ジャケットのシルエットを美しく見せるために、最下段のボタンを開けることを前提として設計されていました。これにより、ウエストラインが強調され、より洗練されたシルエットが生まれます。
ボタンの本数別・正しい留め方
2つボタン|上のボタンのみを留める
2つボタンのスーツジャケットでは、上のボタンのみを留めるのが正式なマナーです。下のボタンは常に開けておきます。これは世界共通の着こなし方法です。
上のボタンだけを留めることで、ジャケットのラペル(襟)が美しいVラインを描き、胸元がすっきりと見えます。また、体の動きにも自然に対応でき、座った時にジャケットにシワが寄りにくくなります。
3つボタン|真ん中のみ、フォーマルなら上2つ
3つボタンのスーツでは、真ん中のボタンのみを留めるか、上と真ん中の2つを留めるのが一般的です。最下段のボタンは必ず開けておきます。
最も一般的なのは真ん中のボタンのみを留めるスタイルで、これによりジャケットの美しいシルエットを保つことができます。フォーマルな場面では上2つを留めることもありますが、カジュアルビジネスでは真ん中のみで十分です。
1つボタン|必ず留める
1つボタンのスーツは、必ずボタンを留めるのがマナーです。このタイプのスーツは元々フォーマル度が高く、ボタンを開けたままでは着崩れた印象を与えてしまいます。
4つボタン・ダブルブレストの場合
一般的なシングルブレストの4つボタンでは、2〜3つボタンの応用として一番下は開けるのが基本です。一方、ダブルブレスト(打ち合わせが深いタイプ)は、シングルブレストとは考え方が異なり、立っている間はすべてのボタンを留めておくのが基本とされています。座るときに外す点は他のタイプと共通です。〔ダブルブレストの詳細な留め方はブランドの取り扱い状況に応じて別途ご確認ください〕
座る・立つ動作でのマナー
座る際は、ジャケットのボタンをすべて外すのが正しいマナーです。これは椅子に座った時にジャケットの前身頃にシワが寄るのを防ぎ、美しいシルエットを保つためです。
立ち上がる時は、すぐにボタンを留め直します。この動作をスムーズに行うことで、洗練された印象を与えることができます。会議や食事の際は、座る度にこの動作を繰り返すことが重要です。
3ピーススーツ(ベスト着用時)のボタンマナー
3ピーススーツを着用する場合、ベストの最下段ボタンは開けるのが伝統的なマナーです。これは英国の伝統に由来するもので、ベストを着用している場合、ジャケットのボタンは開けていても構いません。ベスト自体がフォーマル感を演出するため、ジャケットのボタンマナーは多少緩和されます。
シーン別|就活・面接・冠婚葬祭でのボタンマナー
「面接」「就活」「結婚式」「通夜・葬式」といった具体的な場面での留め方を知りたいという検索が多いため、シーン別に整理します。基本ルール(一番下は開ける、座ったら外す)はどのシーンでも共通です。
| シーン | 留め方の考え方 |
|---|---|
| 就活・面接(対面) | 入室時・面接官との対話中は上のボタンを留める。着席の指示があれば座る前に外す |
| Web面接・オンライン面接 | 座った状態で映るため、対面時ほどボタンの開閉に神経質になる必要はないが、上半身が映る場合は留めておくと印象が整う |
| 証明写真・履歴書写真 | 立ち姿を撮影するため、上のボタン(2つボタンなら上、3つボタンなら真ん中)を留めて撮影する |
| 結婚式(列席) | 基本ルールと同じく一番下は開ける。祝辞や集合写真など立っている場面ではボタンを留める |
| 通夜・葬儀・法事(喪服) | 喪服のジャケットも同様に一番下は開けるのが基本。着席が多い場のため、座る際は都度外す |
〔就活・面接時のスーツ選びやサロンでの補正相談については、来店時にご相談ください〕
マナー違反がもたらす印象への影響
「マナー」という言葉に対する拒否反応も理解できます。何もかも堅苦しくて窮屈に感じるかもしれません。ですが紳士の世界は「マナー」で成り立っており、スーツを着る際にはそのルールを知っていないとジェントルだとは言えないのです。
全てのボタンを留めてしまうと、「スーツの着方を知らない人」という印象を与えてしまいます。 特に重要な商談や面接の場では、細かな身だしなみへの配慮が評価の対象となるため、マナー違反は致命的な印象を与える可能性があります。服装の基本的なマナーを守れない人は、仕事においても細かな配慮ができないのではないかと疑われることがあります。特に金融業界や法律関係など、伝統を重んじる業界では厳格に見られる傾向があります。海外のビジネスパートナーや、外国人の多い環境では、アンボタンマナーは国際的な常識として認識されており、違反していると教養がないと判断される可能性があります。
見た目への悪影響もあります。最下段のボタンまで留めると、ジャケットのウエストラインが不自然に締まり、胸部や腹部が強調されて体型が悪く見えます。また、座った際にシワが集中し、非常に見苦しい状態になります。全てのボタンを留めると身体の動きが制限され、ぎこちない動作になってしまいます。
正しいボタンマナーを身につけることで、スーツをより格好良く着こなし、ビジネスシーンでの印象を大きく向上させることができます。毎日の習慣として身につけ、洗練されたビジネスパーソンを目指してみるのもいいものです。
Lv.99が考える、ボタンマナー以前の「体に合うスーツ」
ボタンマナーは着こなしの土台ですが、そもそもジャケットが体型に合っていなければ、正しくボタンを留めても美しいシルエットにはなりません。Lv.99では、JOSSCA認定マイスター水本慎太郎が、型紙仕様を把握したうえでの的確な体型補正を行い、エルメネジルド・ゼニアやロロ・ピアーナ、DORMEUIL、尾州ウールなどの生地から、国内縫製・本切羽・お台場仕立て・キュプラ裏地・水牛やナットの釦といった標準仕様で一着を仕立てます。
FAQ|スーツボタンについてよくある質問
Q. スーツのボタンはどっちが上を留めますか?
A. 2つボタンなら上のボタンのみ、3つボタンなら真ん中のボタンのみを留めるのが基本です。どちらの場合も一番下のボタンは留めません。
Q. スーツのボタンはどこを止めるのが正しいですか?
A. ボタンの本数で異なります。1つボタンは必ず留める、2つボタンは上のみ、3つボタンは真ん中(フォーマルな場では上2つ)を留め、最下段は常に開けておきます。
Q. 3つボタンのスーツはどこを閉めますか?
A. 最も一般的なのは真ん中のボタンのみを留めるスタイルです。フォーマルな場面では上2つを留めることもありますが、最下段は必ず開けておきます。
Q. スーツボタンのマナーで、留める数の目安はありますか?
A. 1つボタンは1つとも留める、2つボタンは1つだけ、3つボタンは1つ(場合により2つ)を留めます。いずれも一番下は留めません。
Q. スーツの一番下のボタンはなぜ開けるのですか?
A. 起源には諸説ありますが、体格の良かったエドワード7世が最下段を開けていたのが上流階級に広まった説、乗馬時の動きやすさに由来する説、シルエットを美しく見せる仕立ての設計に由来する説などがあります。
Q. 座るときはボタンをどうすればいいですか?
A. 座る際はジャケットのボタンをすべて外します。立ち上がったら、すぐに留め直すのがマナーです。
Q. スーツが1つボタンだけなのはなぜですか?
A. 1つボタンのスーツは元々フォーマル度が高いデザインで、他の本数とは扱いが異なり、必ず留めるのが正しいマナーです。
まとめ:正しいボタンマナーは、洗練された印象への最短ルート
スーツのボタンマナーの結論は一貫しています。一番下のボタンは留めない。座ったら外す。1つボタンだけは必ず留める。 この基本さえ押さえれば、就活・面接・冠婚葬祭など、どのシーンでも迷いません。
そのうえで、ボタンマナーを最大限活かせるかどうかは、ジャケットが体型に合っているかどうかにかかっています。原宿キャットストリートにある隠れ家オーダースーツサロン「Lv.99」で、あなたを最強にする一着を作りませんか。
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